歌論 無名抄 ますほの薄の事
マスホノスヽキ 雨のふりけるひある人のもとにおもふどちさし あつまりてふるきことなんかたりいでたりけるつゐで にますほのすゝきといふはいかなるすゝきぞなど いひしろふほどにある老人のいはくわたのべといふ ところにこそこのことしりたるひじりはありと きゝ侍しかとほの/"\いひいでたりけり。登蓮法師 そのなかにありてこの事をきゝてことばすくなに なりて又とふこともなくあるじにみのかさしば...
View Article新古今和歌集仮名序7 近衛豫楽院筆
新古今和歌集仮名序 うちにうごきことばほかにあ らはれずといふことなし。 いはんや住吉の神はかたそ ぎの言葉を残し傳教大 師はわがたつそまにおもひを のべたまへり。かくのごときし らぬむかしの人の心をもあら はしゆにてみぬさかひの外 の事をもしるはたゞ此みち ならじ。そも/\むかしはいつ たびゆづりしあとをたづねて あまつ日つぎの位にそなはり仮名序訳
View Article新古今和歌集仮名序8 近衛豫楽院筆
新古今和歌集仮名序 いまはやすみしる名をのが れてはこやの山にすみかを しめたりといへどもすべら ぎはおこたるみちをまもり ほしのくらゐはまつりごとを たすけし契りをわすれず してあめのしたしげきこと わざ雲のうへのいにしへにも かはらざりければよろづの たみかすがの(の)草のなびかぬか たなくよもの海あきつ嶋の 月しづかにすみて和哥浦仮名序訳
View Article新古今和歌集仮名序9 近衛豫楽院筆
新古今和歌集仮名序 の跡をたづね敷嶋のみちを もてあそびつゝ此集をえら びてながき世につたへむと なり。かの万葉集は歌のみな もとなり。ときうつりことへだゝ りていまの人しることかたし。 延㐂の聖の御代には四人に 勅して古今集をえらばしめ 天暦の賢き御門は五人に おほせて後撰集をあつめ しめたまへり。そのゝち拾遺後 拾遺金葉詞花千載等の集 仮名序訳
View Article和漢朗詠集 春3 含賀歌清正、春歌上赤人 元禄五年本
千とせまでかぎれるまつもけふよりは 君にひかれてよろづ世をへむ 能宣 ねの日しにしめつる野べのひめこまつ ひかでやちよのかげをまたまし 清正 若菜 菅 野中芼菜世事推之蕙心鑢下 和羹俗人属之荑指 あすからはわかなつませんかたをかの あしたのはらはけふぞやくめる...
View Article新古今和歌集仮名序10 近衛豫楽院
新古今和歌集仮名序 はみな一人是をうけたまは れるゆへにきゝもらし見をよ ばざるところもあるべし。 よりて古今後撰のあとをあ らためず五人のともがらをさ だめてしるし奉らしむる也。 そのうへみづからさだめみづから みがけることはとをくもろ こしのふみの道をたづぬれば 濱千鳥あと有といへどもわが くにやまとことのはのはじま りて後くれ竹のよゝにかゝる 仮名序訳
View Article新古今和歌集仮名序11 近衛豫楽院筆
新古今和歌集仮名序 ためしなんなかりける。此うち みづからの哥をのせたること ふるきたぐひあれど十首には 過ざるべし。しかるをいまかれ これえらべる所三十首にあま れり。是皆人のめだつべき色も なく心とゞむべきふしもあり がたきゆへにかへりていづれと わきがたければもりのくち ば数つもりみぎはのもくづが きすてずなりぬることはみち にふける思がふかくして後 仮名序訳
View Article新古今和歌集仮名序12 近衛豫楽院筆
新古今和歌集仮名序 のあざけりをかへりみざる なるべし。時に元久二年三 月廿六日になむしるしおは りぬる。めをいやしみ耳を たふとぶるあまりいそのかみ ふるき跡をはづといへどもな がれをくみてみなもとを たづぬるゆへにとみのをがは たえせぬ道をおこしつれば つゆ霜はあらたまるとも松 ふくかぜのちりうせず春秋 はめぐるとも空行月の くもりなくして此ときに あへらむものはこれをよ...
View Article歌論 無名抄 女歌読懸事
女ノ哥ヨミカケタル故實 勝命語云しかるべき所などにて無心なる女房など の哥よみかけたる無術ことおほかり。それは 故實のあるなり。まづきかぬよしにそらおぼめき してたび/"\とふ。さればのちにははぢしらひて さだかにもいはず。これをあつかふほどにかへしおもひ えたればいひつ。よみうべくもあらねばやがておぼめきて やみぬるひとへのこと也。又なまみやづかへ人にも...
View Article玉英堂稀覯本書目 2000年6月/第254号 蔵書
玉英堂稀覯本書目二000年六月/第二百五十四号〈新収〉古典籍百品新古今集切鎌倉初期写 伝西行筆巻第十四 恋歌四新古今和歌集廣橋喬任筆 寛政頃写 二冊玉英堂稀覯本書目 第254号2000年6月1日発行:玉英堂書店鴨長明方丈記室町末期写芭蕉菴記与謝蕪村筆 天明元年写 一巻
View Article和漢朗詠集 春4 元禄五年本
暮春 元稹 拂水柳花千万點隔楼鴬舌両三聲 菅丞相 低翅沙鷗潮落曉乱絲野馬草深春 小野篁 人無更少時須惜年不常春酒莫空 源順 劉白若知今日好應言此處不言何 いたづらにすぐる月日はおほかれど はなみてくらす春ぞ少なき...
View Article新古今集切第十四 恋歌四 上段 玉英堂稀覯本書目
よい/\に君をあはれと思ひつゝ 人にはいはでねをのみぞなく 清慎公 返し 君だにも思いいでけるよひ/\を 待はいかなるこゝちかはする よみ人しらず恋しさにしぬる命を思い出て とふ人あら◯なしとこたへよ ◯→ば別ては昨◯今◯こそへだてつれ 昨◯今◯→昨日今日 千世しもへたる心ちのみする 謙徳公 返し 昨◯ともけふともしらず今はとて...
View Article新古今集切第十四 恋歌四 下段 玉英堂稀覯本書目
いはざりき今こんまでの空の雲 月日へだてゝ物おもへとは →摂政太政大臣 思い出よ誰かねごとの末ならん 昨日の雲のあと山風 家隆 忘行人ゆへ空をながむれば 絶/\にこそ雲もみえけれ →刑部卿範兼 わすれなばいけらん物と思ひしに 物と→物かと それもかなはぬ此世なりけり 殷富門院大輔 うとくなる人を何とてうらむらん...
View Article方丈記序 玉英堂稀覯本書目
行川の流は絶ずしてしかも元 の水にはあらず。淀にうかぶ泡は ◯消かつ結びて久しくとま ることなし。世の中に有人と 栖とまたかくのごとし。玉敷の都 のうちに棟をならべ甍をあらそ へるたかきいやしき人の住居 は代々を經てつきせぬ物なれ 巻末 月影は入る山の端もつらかりき たえぬ光を見るよしもがな...
View Article昭和59年現代書壇名流春聯展 新古今和歌集百選展 蔵書
現代書壇名流春聯展日本書道美術館 新古今和歌集百選展現代書壇名流春聯展新古今和歌集百選展初版:昭和五十九年四月二十日発行:日本書道美術館索引春聯展特別展示新古今和歌集百選展
View Article歌論 無名抄 蘇合姿事
蘇合ノスガタ 抑樂の中に蘇合といふ曲あり。これをまふ には五帖まで帖〃をきれ/"\にまひおはりて のち破をまふ。やがてつゞけてきうをまふべきに 急の一反をばまことにまふことなし。かたの ごとく拍子ばかりにあしをふみあはせてうち やすみつゝ二反のはじめよりうるわしくてまふ也。 このけすらひはたがはぬ半臂の句の心也。哥と楽と みちことなれどめでたきことはおのづからかよへるなる...
View Article百人一首拾穂抄 紫式部 蔵書
紫式部 号藤式部 上東門院女房 源氏物語作者 勧修寺元祖良門の末。中納言兼輔卿曽孫越前守 為時の女也。母摂津守為信の女也。右衛門佐信孝に 嫁して大弐三位を生り。河海抄云鷹司殿(御◯ 殿北方從一位倫子左大臣雅信女)の官女なりし。◯◯て上東 門院に仕云云。紫式部と号する故は、袋草子云、紫式 部と云二説あり。一つは源氏物語の中に若紫の巻を...
View Article後鳥羽伝説殺人事件 蔵書
後鳥羽伝説 殺人事件 内田康夫 角川文庫 後鳥羽伝説殺人事件 一人旅の女性が古書店で見つけた一冊の本。彼女がその本を手にした 時、”後鳥羽伝説“の地を舞台にした殺人劇の幕は切って落とされた! 芸備線三次駅で若い女性の絞殺死体が発見された。尾道からまっすぐ 東京に帰る予定だった被害者がなぜ三次で殺されていたのか?犯人の動 機は?...
View Article西行 白洲正子 蔵書
西行白洲正子願はくは花のしたにて春死なん……伝説化された歌聖、西行の人生を辿り、その真実を解き明かす新潮社版西行の真価は、信じがたい程の精神力をもって、数奇を貫いたところにあり、時には虹のようにはかなく、風のように無常迅速な、人の世のさだめを歌ったことにあると私は思う。 *彼は空気のように自由で、無色透明な人物なのである。したがって、とらえどころがないばかりか、多くの謎に満ちている。...
View Article式子内親王伝 蔵書
面影びとは法然 式子内親王伝 石丸晶子 作者:石丸晶子 初版:1989年12月20日 発行:朝日新聞社 目次 第一章 式子 その周辺 伝説化した恋人定家 面影女は法然 皇女たちの人生 八条院暲子の歳月 法親王の人生 三界に棲むところなく 第二章 賀茂の斎院となる 式子のきょうだいたち 卜定から野宮へ 白い歳月を 『伊勢物語』の斎宮 いのち羽ばたく 第三章 王朝の残夢深き夜に...
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