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Channel: 新古今和歌集の部屋
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鴨長明方丈記之抄 世の有にくき事5 又百分が一に及ばず

ふれば、又百分が一だにも及ばすと。かく いふ程に齢はとし/"\にかたぶき、すみかは折〃 にせばし。其家の有様よのつねならず。ひ ろさはわづかに方丈、たかさは七尺がうち也。 所をおもひさだめざるがゆへに地をしめて 作らず。土居をくみ、打おほひをふきて つぎめごとにかけがねをかけたり。もし心に、か なはぬことあらば、やすく外に移さんが為 也。其改め造る時いくばくの煩ひが有。つむ...

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歌論 無名抄 仮名序事

  假名筆 古人云かなに物かくことは哥の序は古今のかなの 序を本とす。日記はおほかゞみのことざまをならふ。 和哥のことばゝ伊勢物がたりならびに後撰の 哥のことばをまねぶ。物がたりは源氏にすぎたる 物はなし。みなこれらをおもはへてかくべきなり。 いづれも/"\かまへてまなの詞をかゝじとするなり。 心のおよぶかぎりはいかにもやはらげかきてちから なき所はかな(マナ)にてかく。それにとりてはねたる...

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読癖入伊勢物語 八十五〜八十六段

  八十三段 小野の雪? 八十五段 雪に降り込められたり?   八十五昔男有けり。わらはよりつかふまつりける君御ぐしおろし給ふ てげり。む月にはかならずまふでけり。おほやけの宮づかへしければ つねにはえまふでず。されど、もとの心うしなわで、まふでけるにな む有ける。昔つかふまつりし人ぞくなるぜんじなるあまた参り あつまりて、む月なれば事だつとて、おほみき給ひける。雪こぼす...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵1 南に仮の日隠しを

  をかくして、南に假の日がくしをさし出し て、竹のすのこをしき其物に閼伽棚を 作り中には西の垣に添て阿弥陀 の畫像を安置し奉りて落日を請 て眉間の光とす彼帳のとびらに、普 賢ならびに不動の像をかけたり。北 の障子の上にちいさきたなをかまへて、く ろき皮籠三四合を置。すなはち和哥 管弦往生要集ごとき抄物をいれ たり。傍に箏琵琶をの/\一張を たつ。いはゆるおりごと、つぎ琵琶これ也。...

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余情妖艶ー私の『新古今和歌集』鑑賞 蔵書

余情妖艶 ー私の『新古今和歌集』鑑賞 大伴道子       著者:大伴道子 初版:1981年8月 発行:書肆季飾社 303ページ     大伴道子 歌人。本名操。堤康次郎正妻。   各項テーマごとに選んだ歌の解説。タイトルは、テーマを代表する歌の詞。四季の歌は歌人ごとの歌。   「はじめに」に...

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読癖入伊勢物語 八十七〜八十八段

  八十七段 布引の瀧   七十八むかし男つの国むばらの郡、あし屋の里に、しるよししてい きて住けり。むかしの哥に 新古今芦の屋のなだの塩やきいとまなみつげの小櫛もさゝずきにけり と読ける。そこの里を読みける。爰をなん芦屋のなだとはいひける。此 男なま宮づかへしければ、それを便にて、衛府のすけどもあつまりき にけり。此男このかみも衛府のかみ成けり。その家のまへの海の邊に...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵2 東にそへて蕨のほどろを

東にそへてわらびのほどろをしき、つか なみを敷て夜の床とす。東の垣に 窓をあけて爰にふつくゑをつくり出 せり。枕のかたに、すびつあり。これを柴折 くぶるよすがとす。庵の北に少地をし め、あばらなるひめ垣をかこひて園と す。則諸の薬草を栽たり。假の庵 の有様かくのごとし。其所のさまをいはゞ みなみにかけひあり。岩をたゝみて水を ためたり。林軒近ければ、爪木を拾ふ...

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読癖入伊勢物語 八十九〜九十四段

  九十段 あな頼み方   月を見て、それが中にひとり 古今大かたの月をもめでし是ぞこのつもれば人の老となるもの 八十九昔いやしいからぬ男、われよりはまさりたり人を思ひかけて年へける。 人しれずわれ恋しなばあぢきなく何れの神になき名おほせん 九十むかしつれなき人を、いかでと思ひわたりければ哀とや思ひけん。さらば あす物ごしにてもといへりけるを、かぎりなくうれしく、又うたが...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵3 葛跡を埋めり

かづら跡をうづめり。谷しげけれど西は 晴たり。観念のたよりなきにしも あらず。春は藤波を見る。紫雲の ごとくして西の方に匂ふ。夏は時鳥 をきく。かたらふごとにしでの山路をちぎる。 秌はひぐらしの聲みゝにみてり。空蝉 の世をかなしむと聞ゆ。冬は雪を 憐む。つもりきゆるさま、罪障にたとへつ べし。もし念佛ものうく、読經まめ ならざる時は、みづからやすみ、みづから...

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読癖入伊勢物語 九十五〜百一段

九十八 造花   九十五むかし二条の后に、つかうまつる男有けり。女のつかふまつるを、常に 見かはして、よばひわたりけり。いかで物ごしにたいめんしておぼつかなく 思ひつめたる事、すこしはるかさんといひければ、女いとしのびて、物 ごしにあひにけり。物かたりな(ン)どして男、 ひこ星に恋はまさりぬ天の川へだつる関を今はやめてよ この哥にめでゝ、あひにけり。...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵4 友も無し

  友もなし。殊更に無言をせざれども、ひ とりをれは口業をおさめつべし。かならす 禁戒を守るとしもなけれ共、境界 なければ何に付てかやぶらん。若跡の 白波に身をよする朝には岡の屋に 行かふ舟をながめて満沙弥が風情 をぬすみ、もし桂の風ばちをならす 夕には、潯陽の江をおもひやりて源 都督のながれをならふ。もしあまり興 あればしは/"\松のひゞき秌風の楽を たぐへ、水の音に流泉の曲をあや...

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BUSHOO!JAPAN 新古今和歌集が技巧的と言われる理由とその歴史

  新古今和歌集が技巧的と言われる理由とその歴史~20首をピックアップ! - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) 古 ...   新古今和歌集が技巧的と言われる理由とその歴史~20首をピックアップ! - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) 2020/07/17   独断と偏見で選んだ20首とは?   春 梅が枝に 鳴きてうつろふ 鴬の 羽白妙に 淡雪ぞふる (詠み人知らず)   故郷に...

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読癖入伊勢物語 百二

百二 親族なる尼? 花のしなひ三尺六寸ばかりなん有ける。それを題によむ。読は てがたにあるじのはらからなる、あるじし給ふと聞て来りけりれば とらへてよませける。もとより哥の事はしらざりければ、 すまひけれど、しゐてよませければかくなん。 咲花のしたにかくるゝ人おほみ有しに増る藤の影かも などかくしも読といひければ、おほきおとゞの栄花の盛にみま...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵5 芸はこれ拙ければ

つる。藝はこれつたなければ、人の耳 を悦ばしめんとにもあらず。ひとりしら べひとり詠じてみづから心をやしなふ 斗也。又麓に一の柴の庵あり則此 山守が居るところ也。かしこに小童有。 時〃来て相訪ふ。もしつれ/"\なる時は これを友としてあそびありく。かれは十六 歳、われは六十其齢事の外なれど心を なぐさむる事はこれ同じ。或はつ花を ぬき岩なしをとる又ぬかごをもり芹 をつむ。或はすそはの田井に到りて...

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読癖入伊勢物語 百三〜百七段

辰田川之図 喜多武清画掛軸 百三昔男有けり。いとまめにじちようにて、あだなる心なかりけり。ふ か草のみかどになんつかうまつりける。心あやまりやしたりけん みこたちのつかひ給ひける人を、あひいへりけり。さて 古今ねぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにも成まさる哉 となん読てやりける。さる哥のきたなげさよ。 百四昔ことなる事なくて、尼になれる人有けり。㒵をやつしたれど物やゆ...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵6 落穂を拾ひて

落穂をひろひてほぐみをつくる。若 日うらゝかなれば嶺によぢ上りて遙 に故郷の空を望み木幡山伏見の 里鳥羽羽束師を見る。勝地は主 なければ、心をなぐさむるに障なし。あゆ み煩なく志とをくいたる時は、これよ り峯つゞき、すみ山を越笠取を 過て、岩間にまうで石山をおがむ若 は又粟津の原を分て、蝉丸翁 が跡をとぶらひ、田上川をわたりて 猿丸大夫が墓をたづぬ。歸るさには...

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読癖入伊勢物語 百八〜百十五段

四十五段 ゆく蛍   と読てやれりければ、みのもかさも取あへで、しとゞにぬれてまどひきにけり。 百八むかし女、人の心をうらみて、 風ふけばとばに波こす岩なれやわが衣手のかはく時なき と、つねのことぐさにいひけるを、聞おひけり男 宵ごとに蛙のあまたなく田には水こそまされ雨はふらねど 百九むかし男、友だちの人をうしなへるがもとにやりける。 古今花よりも人こそあだに成にけりいづれをさきに恋んとかみし...

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鴨長明方丈記之抄 日野7 折につけつつ

折につけつゝ桜をかり紅葉をもとめ 蕨を折、木のみをひろひて且は仏に奉 り且は家づとにす。もし夜しづかなれば 窓の月に古人をしのび猿の聲に 袖をうるほす草むらの蛍はとをく 真木の嶋のかゝり火にまがひ、曉の雨 はをのづから木の葉吹嵐に似たり。山 鳥のほろ/\と鳴を聞て父か母かと うたがひ、峯のかせぎの近くなれたるにつ けても、世にとをざかる程をしる或は 埋火をかきをこして、老の寝覚の友...

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読癖入伊勢物語 百十六〜百二十五

百廿五段 つひにゆく道   いふ所にて酒のませてよめる。 古今おきのゐて身をやくよりも悲しきはみやこ嶋べわかれなりけり 百十六昔男、すゞろにみちの国までまどひいにけり。京に思ふ人にいひやる 拾遺波間よりみゆる小嶋の濱びさし久しくなりぬ君にあひみで 何事もみなよくなりにけりとなんいひやりける。 百十七むかしみかどすみよしに行幸し給ひけり。 古今われ見ても久しくなりぬ住吉の岸の姫松いく代へぬらん...

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鴨長明方丈記之抄 日野の庵8 恐ろしき庵ならねど

とす。おそろしき山ならねど、ふくろう の聲をあはれむにつけても、山中の 景気折につけても、盡ることなし いはんやふかくおもひ、つゝしれ覧人の為 には、これにもかぎるベからず。大かた此所に 住初し時は白地とおもひしかど、今迄 に五とせを經たり。假の庵もやゝふる 屋となりて、軒にはくち葉ふかく、土居 苔むせりをのづから事の便に都を聞 ば此山に籠ゐて後、やんごとなき人の...

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