絵入横本源氏物語 賢木 左大臣辞職 蔵書
おぼしつゝ、御をこなひたゆみなくつと めさせ給。人しれずあやうくゆゝ しう思ひ聞え給ふことしあれば、我 にそのつみをかろめて、ゆるし給へと 仏をねんじ聞え給に、よろづをな 源くさめ給。大"将もしか見奉り給て、 源ことはりとおぼす。此殿の人どもゝ、 又おなしさまに、からきことのみあれ 源心ば、世中はしたなくおぼされて、こ もりおはす。左のおとゞも、おほやけ...
View Article見立伊勢物語 武蔵野 右 喜多川歌麿 浮世絵復刻コレクション
喜多川歌麿 見立伊勢物語 武蔵野 大判3枚のうち、右 伊勢物語 むかし男ありけり。人のむすめを盗みて、武蔵野へ率てゆく ほどに、ぬすびとなりければ、国の守にからめられにけり。 女をば草むらのなかに置きて、逃げにけり。道来る人、この 野はぬすびとあなりとて、火つけむとす。女わびて、 武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまも籠れれり我も籠れり...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 韻塞遊び 蔵書
やりて、宮つかへをもおさ/\し給はず。 御心にまかせて、うちあそびておは するを、世中にはわづらはしきこと共" やう/\いひ出る人々"有べし。夏の雨 頭のどかにふりて、つれ/"\なる比、中将 さるべきしふ共"、あまたもたせて参り 源給へり。とのにも、ふどのあけさせ給て まだひらかぬみづし共"のめづらしき、 古集のゆへなからぬすこしえり出...
View Article見立伊勢物語 武蔵野 左 喜多川歌麿 浮世絵復刻コレクション
喜多川歌麿 見立伊勢物語 武蔵野 大判3枚のうち、左 伊勢物語 むかし男ありけり。人のむすめを盗みて、武蔵野へ率てゆく ほどに、ぬすびとなりければ、国の守にからめられにけり。 女をば草むらのなかに置きて、逃げにけり。道来る人、この 野はぬすびとあなりとて、火つけむとす。女わびて、 武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまも籠れれり我も籠れり...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 文王子武王弟 蔵書
「ことことしうはあらで、なまめきたる桧破籠共、賭物など樣々にて、今日も、例の人々多く召して、文なと作らせ給ふ」 頭 それもかとけさひらけたるはつ 花におとらぬ君がにほひをぞみる。 ほゝゑみてとり給ふ 源 時ならてけささく花は夏の雨に しほれにけらし匂ふほどなく。おとろ へにたる物をと、うちさうどきて、 らうかはしくきこしめしなすを、とが...
View Article西行物語絵巻 吉野山 蔵書
すでに出家の身となりて菩薩戒のみち に入ぬればいまはつくりし所の罪障を 懺悔せんとおもひて常になすところのおもひ みな三途の業なり。善心はすくなく悪心は おほし。しかれども罪は百丈の石懺悔は舟 なり。罪におもき百丈の石なれども懺悔の舟に のせて煩悩のとまりをいで菩提の岸にい たるべし。事理の懺悔五躰を地になげて 一心に念佛をとなふれば草木の薪を万里 につむといへども芥子ばかりの火をつくれば...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 密会発覚 蔵書
「今ぞ、やをら顔ひき隠して、とかく紛らはす。あさましう、めざましう心やましけれど、直面には、いかでか表し給はん。目もくるる心地すれば、この畳紙を取りて、寝殿へ渡り給ひぬ」 ば、いとむねつぶらはしくおぼさる。心 しりの人ふたりばかり、心をまどは す。神なりやみ、雨すこしをやみぬる 右大臣 ◯ほどに、おとゞわたり給て、まづ宮の 御かたにおはしけるを、むらさめのま...
View Article田児之浦従考 富士山はどこから見えるか
(富士市ふじのくに田子の浦みなと公園) 1 はじめに 田子の浦にうち出でて見れば白たへの富士の高嶺に雪は降りつつ これは、新古今和歌集巻第六 冬歌 題しらずの山部赤人の和歌で、百人一首でも有名である。撰歌材料としたのは、万葉集巻第三318 雑歌 山部宿祢赤人望不尽山作歌一首并短歌 田児之浦従 打出而見者 真白衣 不尽能高嶺尓 雪波零家留 による。...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 右大臣の怒り 蔵書
朧かんの君は、我かの心ちしてしぬへく 源心おほさる大"将殿もいとおしう、つゐに ようなきふるまひのつもりて人の もどきをほはんとすることゝおぼせど、 朧女君"の心ぐるしき御けしきをとか 右大臣くなぐさめ聞え給。おとゞは思ひの まゝに、こめたる所、おはせぬ本上に、 いとゞ例の御ひがみさへそひ給に たれば、なにごとにかはとゞこほりたま...
View Article和漢朗詠集 草、鶴 含春歌上忠見、雑歌下清正 元禄五年版
草 白 沙頭雨染斑〃草水面風駈瑟〃波 元稹 西施顔色今何在應在春風百草頭 直幹 瓢箪屡空草滋顔淵之巷藜 藋深鎖雨湿原憲之樞 後江相公 草色雪晴初布濩鳥聲露暖漸綿蠻 保胤 華山有馬蹄猶露傳野無人路漸滋...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 弘徽殿女御の立腹 蔵書
かのみかたにこそ御心よせ侍めりしを、 そのほいたがふさまにてこそは、かくて もさふらひ給ふめれと、いとおしさに いかでさるかたにても、人にをとら ぬさまにもてなし聞えん、さばかり ねたげなりし人の、みる所もあり などこそは思侍つれど、しのびゐて、朧のわが心のいるかたになびき給にこそ は侍らめ。斎院の御ことはまして さもあらん。なにごとにつけても、おほや けの御かたにうしろやすからずみ...
View Article西行物語絵巻 八上王子 蔵書
名をえたる山の花なればさこそはおもしろかり ける。こけのむしろのうへに岩ねに枕をかた むけてさすがにいける命のたよりには谷のし 水をむすび峯のこのみにたはぶれて 寂寞無人聲 讀誦此經典とよみて いよ/\入出於山思惟仏道 とよみていよ/\おこなひこゝにあかねども熊野 のかたへまいらんと思て行道いとあわれのみまさりて おろかなるこゝろのひくにまかせても さてさはいかに露の命を...
View Article絵入横本源氏物語 賢木 目次 蔵書
絵入横本源氏物語 賢木 はじめに 1 万治本源氏物語を、1記事3ページを先ず現代ひらがなに直した。 2 どうしても読めない字は、○で表記した。特に弘徽殿女御を示す字は全く読めなかった。 3 そしてそれを読み易いように、適宜漢字にし、送り仮名を加え、句読点を加え、濁音点を付し、段落に分けた。特殊な読みは( )内にそのまま記載した。 4 タイトルは、物語の内容から、適当に付けた。 5...
View Article本居宣長の世界 和歌・注釈・思想 読書
本居宣長の世界 森話社 和歌・注釈・思想 長島弘明〔編〕 鈴木日出男・風間誠史・鈴木健一・渡部泰明 田中康二・杉田昌彦・勝原晴希・神野志隆光 編者:長島弘明 初版:2005年11月22日発行:森話社 目次 1 宣長の和歌論における「もののあはれ」と「あや」 鈴木日出男 2 本居宣長の「文学」 初期詠歌と『排蘆小船』を読む...
View Article西行物語絵巻 千里浜 蔵書
かくてまどひありくほどに登蓮法師人に すゝめて百首のうたをあつらへけれどい なび申て熊野へまいるみち紀伊国千里 のはまのあまのとまやにふしたりける夜の 夢に三位入道俊恵など申ていはくむかし にかはらぬ事は和謌のみちなり。これを よまぬ事をなげくとみておどろきてよみて おくりけるにこのうたをかきそへて つかはしける すゑの代もこのなさけのみかはらずと みしゆめなくばよそにかきまし...
View Article新古今和歌集の西行歌の撰歌1
※大阪弘川寺歌碑 ねがはくは花のしたにて春死なむ 1 はじめに 新古今和歌集において、西行法師は、集の撰者への与えた影響は大きく、94首撰歌、1首切出歌と最多の撰歌である。勅命者の後鳥羽院も、隠岐においての撰歌は80首と14首しか削除していない。(西行撰歌一覧を参照) 西行の歌は、山家集、異本山家集(石川県立図書館蔵)、聞書集、残集、補遺、自撰歌合の御裳裾川歌合と宮河歌合として、残っている。...
View Article美濃の家づと 二の巻 冬歌1
冬哥 千五百番哥合に初冬 俊成卿 おきあかす秋のわかれの袖の露霜こそむすべ冬やきぬらん めでたし。 九月尽の夜、秋をゝしみて、おきあかす 袖の涙の、霜になりぬるは、はや冬の来つるにやと也。 春日社哥合に落葉といふことをよみて奉りし 慈圓大僧正 木葉ちる宿にかたしく袖の色をありともしらで行嵐哉 詞めでたし。 袖の色とは、例の紅の涙にそまりた...
View Article西行物語絵巻 葛城山 蔵書
このいはやにて往生をとげばやとおもひけ れども先達ゆるさゞりければこゝろならず いでつらなりてゆくほどに大和國まぢかくな りて人ざとわづかにみえてふるきはたの そばにはとのこゑおりからにや心ぼそくき こゆるにまたかつらぎ山をみやればときまどは せるもみぢのみえければあれはいかにと人に たづねければまさきのかづらにていつもわか ぬもみぢと申せば かつらぎやまさきの色はあきにゝて...
View Article美濃の家づと 二の巻 冬歌2
五十首奉りし時に 宮内卿 からにしき秋のかたみや立田山ちりあへぬ枝に嵐ふくなり 本哥√からにしき枝に一むら残れるは秋のかたみをたゝぬ なりけり。 から錦は、たつの縁也。 ちりあへぬとは、此哥にて は、いまだ散までにもいたらぬをいふ。 一首の意は、いまだちる 迄にもいたらぬ紅葉の枝に、嵐のふくは、秋のかたみを残さじと て、ことさらにたつにやと也。たつは、たえしむるなり。...
View Article八雲御抄 作法部 中殿会 蔵書
八雲抄巻第二作法部 一 中殿會 上古者尋常會唯中殿也。自中古為晴儀。二条院花 有寿色。非晴儀仍不入。後冷泉天㐂四年新成桜花。白 川院、應德花契多春、堀川院、永長竹不改色、崇德 院、天承松契 ◯齢近、建保池月久明、以五ヶ度例定之。 尅限出御、平数御座 御直衣 張袴東向母屋御簾本 に立几帳御装束同官奏時但有公卿座 次依天氣頭召 公卿 次公卿自上戸参着 直衣束帯相交 次置管弦具...
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